飲食店はどこも人手不足!飲食店における人材確保の話その1
”お店を増やしたいけど、人がいなさすぎて出店出来ない”
”開店したはいいけど、スタッフが辞めちゃってランチ営業をお休みしている”
”正社員はおろかアルバイトすら足りない”
首都圏の飲食店ではここ数年、人手不足の悩みが絶えないそうです。(飲食店だけでなくデスクワーク系などの職種でも常に足りないみたいです。)
私たちの周りでも、”誰かいい人いない?”とさも婚活か恋活かのごとく相談して来る飲食店店主が結構な数います。
一方で、仕事を探している人が全然いないかと言うとそんなことはなく、”今求職中なんですよ〜”というこれまた婚活か恋活かのごとく”今フリーです”な人が老若男女問わずいたりします。
この両者がどうしてうまくマッチしないものか?といつも傍目に思っていました。
ということで、飲食店と求職者の掛け違いが一体どこにあるのか?研究してみたいと思います。
飲食店で働こうと思っている人の層
飲食店で働こうと思っている人は、大きくわけると4つに分けられると考えられます。
1、ダブルワークの人
昼職+夜の飲食店の人の場合、基本はホールや皿洗いなどの特別なスキルを要しない単純作業系が多い。
一方で昼ランチ+夜ディナーなどの昼夜共に飲食店を掛け持ちするフリーアルバイターは、経験豊富な人も多く即戦力となる場合も。
どちらも翌日の仕事もあるため基本的に深夜帯〜早朝の勤務が出来ない人が多い。
2、主婦を中心とした昼のパート
子育てや家事など家庭の都合に合う職場(時間帯や立地)を探している人が多い。調理補助なども出来るので意外と使い勝手がよいが、基本はランチ営業時のみのヘルプ。
3、独立開業を目指している人
経験を積んで将来自分でお店を開こうと思っている人。数年で離職する確率が高いが、やる気と行動力があるので、スキルアップも早く有用な人材。
4、調理系職人や接客系職人
独立開業する気はなく、雇われながらキャリアアップをしていきたいと考えている人。多店舗展開を考えているお店などにとっては将来の幹部候補(店長や料理長など)となる人材。
5、学生アルバイター
大学生の場合、学業や部活、プライベートを損なわない程度にアルバイトをしたいという人は多く、シフトの自由が利きやすい大型店(ファミレスなど)や個人店(小さな居酒屋)のどちらかを選択するようです。
闇雲にただ頭数だけ揃えればよいというわけではなく、自分のお店がどういう人材を求めているのか?はっきりと区分した上で求人戦略を立てる必要があります。
小さな飲食店を営む個人事業主の場合
小規模な単独店舗を営んでいる個人事業系の飲食店の場合、20席を超えてくるキャパだと一人で回すのは難しいので、店主一人+アルバイトといった二人体制を敷く必要がでてきます。
その場合、4の技術者層を取り込むのは単価の高いお店でもない限り難しく※、1の掛け持ちか3の開業予備軍、5の学生に頼ることになります。(ランチをやっているお店の場合はランチ時のみ2を採用する場合もあるでしょう。)
(※)4の層はある程度の給与を保証する必要があります。(一人の人間が一生の職場にしてもいいと思えるだけの給与待遇=社会保険完備や家族手当などを含め額面で月間30万円程度の人件費を用意する必要があります。)
3に関しても、技術的に相当なスキルが修得出来る系の業態(和食や寿司などの職人や、パテシエやバーテンダーなど)ならば、古い慣習ですが”丁稚奉公”的な考えで、ある程度安価な給与設定も可能ですが、そうでない業態の場合はやはりある程度の給与を保証してあげないといけないかもしれません。(正社員登用の場合、少なくとも手取りで18万円弱位からスタートしないと募集しても応募が来ないです。)
ランチタイムのアルバイトを捜しているフリーターの知人にヒアリングしたところ、まずは時給や交通費などの金銭的条件で検索して、次に通いやすさ(利用沿線や駅出口からのアクセス)で絞り込んで、応募エントリーしているということでした。
勿論それだけじゃないことは重々承知ですが、働く側から見たら、当然給与面は気になるところです。
ところで、札幌における飲食店のアルバイトの時給の相場って今はどれくらいなんでしょうか?
主要な求人サイトに見る札幌の相場
昨年10月より、北海道の最低賃金が時間当たり764円から786円に上がりました。街やSNSで見かける飲食店の時給も確かに数年前の相場だった750円なんていう数字をすっかり見なくなり、どこも揃って800円という数字を提示しています。
実際のところどうなのか?札幌市中央区エリアにおける飲食店求人の総件数と時給900円以上を謳っている募集件数をそれぞれ調べてみました。
札幌市中央区の飲食求人件数(2017年8月調べ)
サイト名(飲食求人総数|時給900円以上)タウンワーク(655/151)
https://townwork.net/hokkaidou/アルキタ(434/78)
https://gakusei.arukita.com/マイナビバイト(250/72)
http://baito.mynavi.jp/hokkaido/バイトル(221/59)
http://www.baitoru.com/tohoku/LINEバイト(138/61)
https://baito.line.me/hokkaido/an(138/59)
https://weban.jp/hokkaido/pft_hokkaido/FromAnavi(125/45)
https://www.froma.com/hokkaido/
募集件数はタウンワーク、アルキタの二つが多いようです。特筆すべきはほとんどの求人サイトで時給900円以上の求人の割合が2割超という点です。(サイトによっては4割弱も)
よりよい人材を確保し、また継続して勤務してもらおうと考えているなら850円~900円の時給設定が必要な時代になって来たのかもしれません。
募集費用ってどれくらいかかるの?
求人サイトは言わずもがな掲載料金がかかります。主要求人サイトの北海道エリアの掲載料金をザックリ調べてみました。
主要求人サイトの掲載料金(2017年8月調べ)
タウンワーク:フリーペーパー版が1週10000円〜、WEB版が4週10000円〜(フリーペーパー掲載でWEB版同時転載)
アルキタ:WEB版掲載は本誌掲載必須。1週12000円〜(本誌1/24Pが1週7000円〜+WEB版が1週5000円〜)
an:1週9000円〜、4週25000円〜(LINEバイトにも同時掲載)
大体1か月あたり最低40000円はかかる計算です。店主+アルバイトの小さな飲食店の場合、10000円でも掲載料金は馬鹿に出来ません。数店舗展開するやや中規模の飲食店チェーンでもベタウチ(掲載しっぱなし)で毎月4〜5万円(上位プランや複数サイト掲載だと倍〜4倍程度=毎月10万円〜30万円)の経費をかけることになります。
当たり前の話ですが、掲載したからと言って必ず応募が来るわけではないので、実際に応募がゼロだった場合、掲載料金は言い方は悪いですがドブに捨てたようなものです。
”効果がないから掲載を辞める”
と担当営業マンに告げると
”他社さんの方が給与や待遇面で条件が良いので目立たないのでは?”
とか言われたりして、条件を見直して再度掲載(当然その分費用が増える)する羽目になったりもします。
掲載する前に、競合店がどのような求人を打ち出しているのか?事前に研究しておく必要があります。
求人情報をなるだけ安価に多くの求職者に届けて
1度の掲載でなるだけ多くの応募数を獲得し
その応募をなるだけ面接につなげて
採用した人材になるだけ続けてもらう
ことです。
きっちりと厚待遇を打ち出してコストを抑える
求人コストをコントロールするためにも”競合他社よりもなるだけ好条件を掲載して、結果的に面接まで辿り着かない場合は掲載自体を見直す”こと=効果測定することが大事だと思います。
効果測定することで、自店に適した求人サイトに絞ることが出来、その結果コストを抑えることが出来ます。
応募数が増えれば、採用者を選ぶ側の立場になれます。つまりそれだけクオリティーの高い人材を確保しやすくなります。
(上昇した人件費は、クオリティーの高い人材を活用して売り上げアップにつなげなければなりません。優秀な人材に質の高い業務をしてもらい、その結果売り上げの上昇となるように、マニュアルやカリキュラムなどを用意する必要があるでしょう。)
一方で離職率を下げることでも、求人コストは抑えることが出来ます。
とんちみたいな話ですが、辞める人がいなければ求人コストは0に抑えることが出来るわけです。
求人の入口(応募数)を広げるだけでなく、求人の出口(離職数)を狭めることも同じように大事なことです。
離職数を減らす方法は、離職の理由を取り除くことが結局のところ近道です。今現在働いている人やこれから応募して来る人に、”以前の職場はなぜ辞めたのか?”とヒアリングするだけでも情報収集出来ます。(金銭面、待遇面、人間関係など)これに関しては、別の機会を設けたいと思います。
今時の応募はほとんどがLINE
かつての応募方法が電話からメールに切り替わったように、今現在の応募の主流はLINEです。
LINE IDを掲載してLINEからでも問い合わせができるようにしましょう。求人広告や、公式サイト、公式SNSで求人を募る場合、LINEでの応募が出来るようにするかしないかだけでも、応募数は大きく変わって来ているようです。
そういった意味でも、普段から飲食店店主はスマートフォンを使いこなしておく必要があります。
日頃からLINEやSNSに慣れ親しんでおく=スマホ慣れしておくことをお勧めします。
(参考記事:SNSを活用しよう!小さな飲食店を知ってもらう方法。すすきので独立開業する時の第11歩目)
ちょっと話が長くなったので、今回はここまで。近々その2をアップする予定です。
★今回の記事のまとめ
・飲食店で働く人には、掛け持ち・パート・独立希望・職人・学生がある。
・札幌市の飲食店求人の2割以上が時給900円以上を掲示している。
・求人サイトに掲載するときはなるだけ相場よりも厚待遇で掲載して、求人サイトの効果測定をする。
・離職率を下げることで求人コストが下がる。
・LINEでの応募窓口を用意する。
・日頃からスマホに慣れておく。